2025.09.09
「現場で図面を見ても、何が描いてあるかサッパリわからない…」 「先輩に質問したいけど、忙しそうで聞きづらい…」
給排水設備業界に飛び込んだばかりの若手社員の多くが最初にぶつかる壁が「図面」です。図面は建物の血管ともいえる配管の設計意図を伝える現場の共通言語。これを読み解けなければ仕事は始まりません。
この記事ではそんな若手社員の皆さんと指導に悩む先輩社員の皆さんに向けて、給排水図面の「読み方」と「描き方」の基本を”キホンのキホン”から徹底解説します。 新人の皆さん、まずはこの記事を読んで予習しましょう!先輩の皆さん、新人に「まず、これを読んでおいて」と渡すだけで教育の第一歩が完了します。
まずはここから!給排水図面の種類と役割
一口に図面と言っても役割に応じていくつかの種類があります。まずは代表的な3つを覚えましょう。
1. 平面図:どこに何があるかが分かる「建物の地図」
建物を真上から見た図です。キッチンやトイレ、洗面所などの水回り設備がどこに配置され、配管が床下や壁の中をどのように通っているか(水平方向のルート)が示されています。
2. 系統図:配管の繋がりが分かる「配管の家系図」
給水、給湯、排水といった配管がどのようにつながり分岐しているかを示した、いわば配管の系統樹です。建物全体の配管の流れ(主に垂直方向のルート)を立体的に理解するために不可欠です。
3. 凡例(はんれい)・仕様書:図面のルールを記した「説明書」
図面で使われている記号(シンボル)が何を表しているのか、また、どのような種類の配管や部材を使うのかといった情報が一覧でまとめられています。図面を見るときは、まず凡例から確認する癖をつけましょう。
これだけは覚えたい!図面の「読み方」3つのステップ
図面の種類が分かったらいよいよ読み解いていきましょう。以下の3ステップで進めると、スムーズに理解できます。
STEP1:凡例で「図面記号」を確認する
図面では、便器や給水栓、排水桝などを簡単な記号で表します。例えば、以下のような記号がよく使われます。
【図のイメージ:大便器、洗面器、給水栓などのJIS記号の簡単なイラスト】 最初は暗記できなくても大丈夫です。わからない記号が出てきたら、その都度「凡例」に戻って確認しましょう。
STEP2:「配管の種類」と「管径」を読み取る
配管は、線の種類やアルファベットで区別されます。
線の種類: 実線は給水管、一点鎖線は給湯管、破線は排水管など、線種で配管の種類が分かるようになっています。
配管の略語: VP(硬質ポリ塩化ビニル管)、SGP(配管用炭素鋼鋼管)など、材質を表すアルファベットも頻出します。
管径(かんけい): 20Aやφ50のように、配管の太さ(直径)が記されています。
これらも凡例や仕様書に必ず記載されています。
STEP3:「平面図」と「系統図」を見比べて流れを立体的にイメージする
平面図で器具の位置と水平の配管ルートを確認し、系統図で全体の接続関係と垂直方向の流れを把握します。この2つを頭の中で合体させることで、配管の全体像が立体的に見えてきます。これができるようになれば、あなたも一人前の第一歩です。
いざ実践!図面の「描き方」の基本ルール
図面は、誰が見ても同じように理解できることが重要です。そのため、描くときには基本的なルールを守る必要があります。
ルール1:統一された線と記号を使う線の太さや種類、記号の形は、JIS(日本産業規格)や社内のルールで定められています。手書きの場合は、線の使い分けや記号を正確に描くのに慣れが必要です。
ルール2:正確な縮尺(スケール)で描く実際の建物の大きさを、一定の比率で縮小して描きます。1/50、1/100などが一般的です。
ルール3:情報を詰め込みすぎず、見やすく描く寸法線や文字が重なると、非常に見づらい図面になります。現場の職人さんがスムーズに作業できるよう、配慮することが大切です。
…と、ここまで手書きを前提に解説してきましたが、実は今の時代、手書きで図面を描く会社は少なくなってきています。
【今の時代の常識】図面作成は「CAD」が断然おすすめです!
手書きでの図面作成は、時間がかかる上に、修正が大変です。インクで描いていれば、少しの修正でも最初から描き直し…なんてことも。
そこで登場するのが「CAD(キャド)」です。CADとは、パソコン上で簡単に図面を作成できるソフトのこと。CADを使えば、こんなメリットがあります。
誰でもプロ並みに!: 線や記号がデータとして用意されているので、誰でも均一で綺麗な図面が描けます。
修正が圧倒的に楽!: 間違えてもクリック一つで削除・修正が可能。手書きとは比較にならないほど効率的です。
データで共有・保管: メールで送ったり、ペーパーレスで保管したりできるので、事務所の省スペース化にも繋がります。
若手の即戦力化を後押し!給排水申請CAD「申請くん」
「CADって、覚えるのが大変そう…」 そんな不安を持つ若手や指導者の皆さんにおすすめしたいのが、当社の給排水申請CAD「申請くん」です。
▼「申請くん」が若手育成に最適な理由
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3. 教える側の負担も大幅に軽減! 「申請くん」が作図の基本をサポートしてくれるため、指導者はより実践的な配管ルートの考え方や、現場でのノウハウを教えることに集中できます。
「申請くん」は、若手社員が最速でスキルアップし、即戦力になるための強力な教育ツールにもなるのです。
【まとめ】
図面の読み書きは、給排水設備技術者にとって一生モノのスキルです。まずは基本をしっかり押さえ、分からないことは先輩に質問しながら少しずつ理解を深めていきましょう。
そして、作図業務の効率化と若手育成を同時に実現するツールとして、ぜひ「申請くん」の導入をご検討ください。会社全体の生産性向上と次世代を担う技術者の成長を私たちがサポートします。
猪野
私は30年以上にわたり、土木分野および上下水道のシステム販売に携わってきました。販売だけでなく、上下水道の設計業務や施工管理なども行ってきました。
長年の経験を通じて、顧客の技術的な課題や運用上の悩みを正確に把握し、適切なソリューションを提案いたします。
株式会社スタッグ 取締役営業部長 / 株式会社ケイエス設計 代表取締役 兼任
取得資格
2級土木・管工事施工管理技士 給水装置工事主任技術者 下水道排水設備工事責任技術者 浄化槽設備士 消防設備士 第二種電気工事士 宅地建物取引士 日商簿記2級
私は30年以上にわたり、土木分野および上下水道のシステム販売に携わってきました。販売だけでなく、上下水道の設計業務や施工管理なども行ってきました。
長年の経験を通じて、顧客の技術的な課題や運用上の悩みを正確に把握し、適切なソリューションを提案いたします。
株式会社スタッグ 取締役営業部長 / 株式会社ケイエス設計 代表取締役 兼任
取得資格
2級土木・管工事施工管理技士 給水装置工事主任技術者 下水道排水設備工事責任技術者 浄化槽設備士 消防設備士 第二種電気工事士 宅地建物取引士 日商簿記2級